アル・マディーナで啓示された マッカとも言われる

[بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمَـنِ الرَّحِيمِ ]

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

[إِنَّآ أَعْطَيْنَـكَ الْكَوْثَرَ - فَصَلِّ لِرَبِّكَ وَانْحَرْ - إِنَّ شَانِئَكَ هُوَ الاٌّبْتَرُ ]

 (1. 本当にわれは、あなた(ムハンマド)に潤沢を授けた。) (2. さあ、あなたの主に礼拝し、犠牲を捧げなさい。) (3. 本当にあなたを憎悪する者こそ、(将来の希望を)断たれるであろう。)

 

 ムスリム、アブ ダーウード、アン・ナサーイ みなが、アナスがこう言ったと記録している、「私たちがアッラーの使徒 {saw} と一緒にマスジドにいた時、 彼はうとうとと眠った。それから彼は顔を上げて微笑んだので、私たちは言った、『アッラーの使徒よ、どうして笑ったのですか。』  彼は言った、

«لَقَدْ أُنْزِلَتْ عَلَيَّ آنِفًا سُورَة»

 (今一つの章が私に啓示された。)  そして彼は読んだ、

[إِنَّآ أَعْطَيْنَـكَ الْكَوْثَرَ - فَصَلِّ لِرَبِّكَ وَانْحَرْ - إِنَّ شَانِئَكَ هُوَ الاٌّبْتَرُ ]

 ( 本当にわれは、あなたにアル・カウサルを授けた。- さあ、あなたの主に礼拝し、犠牲を捧げなさい。- 本当にあなたを憎悪する者こそ、断たれるであろう。)   それから言った、

«أَتَدْرُونَ مَا الْكَوْثَرُ؟»

 (アル・カウサルが何であるか知っているか。)  私たちは言った、『アッラーとかれの使徒がもっともご存知です。』 彼は言った、

«فَإِنَّهُ نَهَرٌ وَعَدَنِيهِ رَبِّي عَزَّ وَجَلَّ،عَلَيْهِ خَيْرٌ كَثِيرٌ، هُوَ حَوْضٌ تَرِدُ عَلَيْهِ أُمَّتِي يَوْمَ الْقِيَامَةِ، آنِيَتُهُ عَدَدُ النُّجُومِ فِي السَّمَاءِ، فَيُخْتَلَجُ الْعَبْدُ مِنْهُمْ فَأَقُولُ: رَبِّ إِنَّهُ مِنْ أُمَّتِي، فَيَقُولُ: إِنَّكَ لَا تَدْرِي مَا أَحْدَثَ بَعْدَك»

 (それは、私の主、全能のお方、もっとも偉大なお方が私に約束された川なのである。そこにはよいものが豊富にある。それは、審判の日に私のウンマが連れて行かれる池である。その器は空の星の数ほどたくさんある。そして、彼らの中、アッラーのしもべの一人が遮られて、私は言う、「主よ、彼は私のウンマの者(私に従った者)です。」 するとかれ(アッラー)は仰せられる、「まことに、あなたは彼があなたの後で何を持ち出したか(または新たに作り出したか)について知らない」 と。) これはムスリムの文言である。アフマドはこのハディースをムハンマド ビン フダイルから記録しているが、それはアナス ビン マーリクからアル・ムフタール ビン フルフルへ、そしてムハンマド ビン フダイルへと伝えられたものである。 

 イマーム アフマドはまたアナスから伝えられたものも記録している。アッラーの使徒 {saw} は言った、

 

«دَخَلْتُ الْجَنَّةَ فَإِذَا أَنَا بِنَهْرٍ حَافَتَاهُ خِيَامُ اللُّؤْلُؤِ، فَضَرَبْتُ بِيَدِي إِلَى مَا يَجْرِي فِيهِ الْمَاءُ، فَإِذَا مِسْكٌ أَذْفَرُ، قُلْتُ: مَاهَذَا يَا جِبْرِيلُ؟ قَالَ: هَذَا الْكَوْثَرُ الَّذِي أَعْطَاكَهُ اللهُ عَزَّ وَجَل»

 (私は楽園に入り、一つの川のところに来たが、その川の土手には真珠でできた天幕があった。私は手をその流れる水に入れると、もっとも強い(香りの)ムスクであるのがわかった。それでたずねた、「ジブリールよ、これは何だろう。」 彼は答えた、「これはアル・カウサルで、全能で至高なるアッラーがあなたに与えたものである。」)

 アル・ブハーリーもムスリムも、アナス ビン マーリク経由でこのハディースをサヒーフに収録している。そちらの方ではアナスはこう言った、「預言者 {saw} が天に連れて行かれたとき、彼は言った、

 

«أَتَيْتُ عَلَى نَهْرٍ حَافَتَاهُ قِبَابُ اللُّؤْلُؤِ الْمُجَوَّفِ فَقُلْتُ: مَا هَذَا يَا جِبْرِيلُ؟ قَالَ: هَذَا الْكَوْثَر»

 (私は一つの川のところに来たが、その川の土手には くり貫かれた真珠のドームがあった。私は言った、「ジブリールよ、これは何だろう。」 彼は答えた、「これはアル・カウサルである。」)  これがアル・ブハーリーの文言である。

 アフマドはアナスが伝えたこととして、ある人が 「アッラーの使徒よ、アル・カウサルは何ですか」 と聞いた時のことを記録している。彼は答えた、

«هُوَ نَهْرٌ فِي الْجَنَّةِ أَعْطَانِيهِ رَبِّي، لَهُوَ أَشَدُّ بَيَاضًا مِنَ اللَّبَنِ، وَأَحْلَى مِنَ الْعَسَلِ، فِيهِ طُيُورٌ أَعْنَاقُهَا كَأَعْنَاقِ الْجُزُر»

 (それは楽園にある川の一つで、主が私に与えてくださったものである。ミルクより白く、蜂蜜より甘い。そこには首がにんじんのような(長さの)鳥がいる。)  ウマルは言った、「アッラーの使徒よ、それ(鳥)はきっと美しいのでしょう。」 預言者 {saw} は答えた、

 

«آكِلُهَا أَنْعَمُ مِنْهَا يَا عُمَر»

 (ウマルよ、それを食する者 (すなわち楽園の人々) は、それよりも美しい。)  

 

 アル・ブハーリーはサイード ビン ジュバイルの伝えたこととして、イブン アッバースがアル・カウサルについて言ったことを記録している。彼はこう言った、「それはアッラーが彼(ムハンマド)に与えられたよいものである。」 アブ ビシュルは言った、「私はサイード ビン ジュバイルに、『人々はそれが楽園の川のひとつであると言っている。』 と言った。 サイードは、『楽園にあるその川は、アッラーが彼に与えられたよいものの中の一部である。』 と答えた。」

 アル・ブハーリーはまた、サイード ビン ジュバイルの伝えたこととして、イブン アッバースが 「アル・カウサルは十二分なよいものである」 と言ったと記録している。 この説明では、川以外に他の物も含まれる。アル・カウサルという語はカスラ(豊富)という語に由来していて、それ(アル・カウサル)は言語学上は豊富な良いものを意味しているためである。 それでこのことから、よいものは(楽園にある)その川である。

 イマーム アフマド はイブン ウマルの伝えることとして、アッラーの使徒がこう言ったと記録している、

 

«الْكَوْثَرُ نَهْرٌ فِي الْجَنَّةِ حَافَتَاهُ مِنْ ذَهَبٍ، وَالْمَاءُ يَجْرِي عَلَى اللُّؤْلُؤِ، وَمَاؤُهُ أَشَدُّ بَيَاضًا مِنَ اللَّبَنِ، وَأَحْلَى مِنَ الْعَسَل»

 (アル・カウサルは楽園の川の一つで、土手は金、真珠の上を流れている。その水はミルクより白く蜂蜜より甘い。)  このハディースはアッ・ティルミズィ、イブン マジャ、イブン アビ ハーティム、イブン ジャリールによって記録された通りである。アッ・ティルミズィは 「ハサン サヒーフ」 であるとした。

 

 そして、アッラーは仰せられている、

[فَصَلِّ لِرَبِّكَ وَانْحَرْ ]

 (さあ,あなたの主に礼拝し,犠牲を棒げなさい。)  「われは現世と来世であなたに有り余るよいものを授けたのだから -そして、その中には先に述べた川がある。 そして義務の礼拝と任意の礼拝を捧げ、(動物の)犠牲を捧げなさい。心を込めてあなたの主のためだけに。 かれだけを崇め、かれにいかなる同格も配してはならない。かれの御名によってのみ犠牲を捧げなさい。かれに同格を配することなく」 ということである。

 これは、アッラーが次のように仰せられているのと同様のことである、

[قُلْ إِنَّ صَلاَتِى وَنُسُكِى وَمَحْيَاىَ وَمَمَاتِى للَّهِ رَبِّ الْعَـلَمِينَ - لاَ شَرِيكَ لَهُ وَبِذَلِكَ أُمِرْتُ وَأَنَاْ أَوَّلُ الْمُسْلِمِينَ ]

 ( 言ってやるがいい。「わたしの礼拝と奉仕,わたしの生と死は,万有の主,アッラーのためである。かれに同位者はありません。このように命じられたわたしは,ムスリムの先き駆けである。」) (6:162-163)  イブン アッバース、アター、ムジャーヒド、イクリマ、アル・ハサン らは、「これと共にブドンが捧げられなければならないということである」 と言った。カターダ、ムハンマド ビン カアブ アル・クラズィ、アッ・ダッハーク、アッ・ラビーゥ、アター アル・フラサニ、アル・ハーカム、イスマーイール ビン アビ ハーリド やサラフの他の人々らも同様のことを述べている。これは、アッラー以外のものに平伏しかれ以外の名で犠牲を捧げている偶像崇拝者のやり方と反対のやり方である。

 アッラーは仰せられている、

[وَلاَ تَأْكُلُواْ مِمَّا لَمْ يُذْكَرِ اسْمُ اللَّهِ عَلَيْهِ وَإِنَّهُ لَفِسْقٌ]

 (またアッラーの御名が唱えられなかったものを食べてはならない。それは実にフィスク(不義な行い)である。) (6:121)

 

 預言者の敵は断絶される

 アッラーは仰せられる、

[إِنَّ شَانِئَكَ هُوَ الاٌّبْتَرُ ]

 ( 本当にあなたを憎悪する者こそ、断たれるであろう。)