マッカで啓示された
これはクルアーンの中で最初に啓示された
[بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمَـنِ الرَّحِيمِ ]
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
[اقْرَأْ بِاسْمِ رَبِّكَ الَّذِى خَلَقَ - خَلَقَ الإِنسَـنَ مِنْ عَلَقٍ - اقْرَأْ وَرَبُّكَ الاٌّكْرَمُ - الَّذِى عَلَّمَ بِالْقَلَمِ - عَلَّمَ الإِنسَـنَ مَا لَمْ يَعْلَمْ ]
(1. 読め,「創造なされる御方,あなたの主の御名において。) (2. 一凝血から,人間を創られた。」) (3. 読め,「あなたの主は,最高の尊貴であられ,) (4. 筆によって(書くことを)教えられた御方。) (5. 人間に未知なることを教えられた御方である。」)
ムハンマドの預言者召命とクルアーンの最初の啓示
イマーム アフマド は、アーイシャが次のように言ったことを記録している。啓示から、アッラーの使徒 {saw} に起こり始めた最初の出来事は、眠っている時に見る夢だが、それは現実になるのであった。 見た夢はすべて、正に朝の夜明けの(明るさの)如く現実になるのであった。 それから、彼は隠遁を好むようになった。彼は準備をしてヒラーの洞穴に行き、幾夜もそこで崇拝に専念したものであった。それから、彼はハディージャのところへ戻り、また同じくらいの夜を過ごすための食料を補充した。これは、ヒラーの洞窟にいた間に突然啓示が下るときまで続いた。彼が洞窟にいた時に天使が来て言った、「読め。」 アッラーの使徒 {saw} は言った、
«فَقُلْتُ: مَا أَنَا بِقَارِىء»
( 私は答えた、「私は読む者ではありません」 と。) それから彼は言った、「すると彼 (天使) は私を掴んで、私はそれ以上は耐えられなくなるまで圧された。それから彼は私を放して言った、『読め』 それで私は答えた、「私は読む者ではありません」 と。すると私はまた、それ以上は耐えられなくなるまで圧された。 それから彼は私を放して言った、
[اقْرَأْ بِاسْمِ رَبِّكَ الَّذِى خَلَقَ ]
( 読め,「創造なされる御方,あなたの主の御名において。) から、
[مَا لَمْ يَعْلَمْ]
( 人間が知らなかったことを」 ) まで。」
それで彼はそれ (その節) を携え、震える心臓でハディージャのところへ (帰って) 来ると、言った、
«زَمِّلُونِي زَمِّلُونِي»
( 私を包んでくれ、私を包んでくれ ) それで彼らは彼を、恐れが消えるまで包んだ。その後で彼はハディージャに起こった事凡てを話した。
«قَدْ خَشِيتُ عَلَى نَفْسِي»
( 私に何か起こるのではないかと心配だ ) ハディージャは答えた、「決してそんなことはありません。アッラーに誓って、アッラーはあなたを決して辱めないでしょう。あなたは親類と良い関係を保ち、真実を話し、貧者と困っている人々を助け、客に気前良く仕え、助けが要る(災難に悩まされた)人々を助けています。」 ハディージャはそれから彼と一緒に彼女のいとこワラカ ビン ナウファル ビン アサド ビン アブドル-ウッザ ビン クサイのところへ行った。ワラカは無知時代にキリスト教徒になっていて、アラビア語で啓典を写していた。 彼は、アッラーが彼が書くことを望まれただけ大いに、インジール (福音書) からヘブライ語で書き取っていた。彼は年老いた人で、視力を失っていた。ハディージャは彼に言った、「いとこよ、あなたの甥の話を聞いてください。」 ワラカはたずねた、「私の甥よ、何を見たのか。」 アッラーの使徒 {saw} は見たものを話した。ワラカは言った、 「それは、アッラーがムーサーに送ったアン・ナームースである。私が若かったならば、そして、あなたの故郷の人々があなたを追い出す時まで生きることができたらよかったのだが。」 アッラーの使徒 {saw} はたずねた、
«أَوَ مُخْرِجِيَّ هُمْ؟»
(人々が私を追い出すのか。) ワラカはそうだと答えて言った、「あなたが齎したものと似たようなものを持って現れた人はみな、憎しみと敵意を持って扱われた。だから、私がその日まで生きているならば、私はあなたをしっかりと支えるだろう。」 しかしワラカは生き続けなかった。彼は亡くなり、啓示は中断して、アッラーの使徒 {saw} は悲しんでいた。この悲嘆のために、彼は山の頂から身を投げようとして何度も出かけた。しかし、彼が山の頂上に着いてそこから身を投げ出そうとするたびにジブリールが彼に現れて、言った、「ムハンマドよ、あなたは、本当にアッラーの使徒なのだ。」 それで、彼の心配は和らぎ、魂は落ち着き、(山を下りて) 戻るのであった。それから、啓示が長い間再び来なかったとき、彼は前にしたように出かけた。そして山の頂に着いたとき、ジブリールが再び彼に現れて、前に言ったのと同じように言った。
このハディースは二つのサヒーフにアッ・ズフリ経由で収録されている。私たちはこのハディースの伝承経路や内容、意味について詳細に、サヒーフ アル・ブハーリーの説明の始めですでに論じている。従って、それについて読みたい方には、そちらの方で研究されている。すべての称賛と恵みはアッラーによる。
このように、クルアーンで啓示された最初のものは、上述の尊く神聖な節であった。アッラーがしもべたちに授けて下さった最初の慈悲、そしてアッラーがしもべらに恵んで下さった最初の恩恵である。
人の名誉と気高さは、彼の知識にある
これらの節により、釣り下がった血の塊に始まる人間の創造について、そして、アッラーが寛大に人に未知のことを教えられたことが知らされている。このようにアッラーは人間の地位を高め、知識を与えることによって人間に栄誉を与えた。そして、人間の父アーダムが天使の上に特徴付けられたのは尊厳であった。知識は、時に心の中に、時に舌に、そして、時には指で書くものにある。このように、それは知力でありうるし、話されうるもの、書かれうるものである。そして、最後のもの(書かれる)は最初の2つ(知力、口頭の)を必要とするが、その逆は当てはまらない。このため、アッラーは仰せられている、
[اقْرَأْ وَرَبُّكَ الاٌّكْرَمُ - الَّذِى عَلَّمَ بِالْقَلَمِ - عَلَّمَ الإِنسَـنَ مَا لَمْ يَعْلَمْ ]
(読め,「あなたの主は,最高の尊貴であられ, - 筆によって(書くことを)教えられた御方。 - 人間に未知なることを教えられた御方である。」) 「書くことによって、知識を記録しなさい」 という叙述がある。また、「知っていることに従って行う者に、アッラーは彼が知らなかった知識を受け継がせる」 という格言もある。
[كَلاَّ إِنَّ الإِنسَـنَ لَيَطْغَى - أَن رَّءَاهُ اسْتَغْنَى - إِنَّ إِلَى رَبِّكَ الرُّجْعَى - أَرَأَيْتَ الَّذِى يَنْهَى - عَبْداً إِذَا صَلَّى
- أَرَءَيْتَ إِن كَانَ عَلَى الْهُدَى - أَوْ أَمَرَ بِالتَّقْوَى - أَرَءَيْتَ إِن كَذَّبَ وَتَوَلَّى - أَلَمْ يَعْلَم بِأَنَّ اللَّهَ يَرَى - كَلاَّ
لَئِن لَّمْ يَنتَهِ لَنَسْفَعاً بِالنَّاصِيَةِ - نَاصِيَةٍ كَـذِبَةٍ خَاطِئَةٍ - فَلْيَدْعُ نَادِيَهُ - سَنَدْعُ الزَّبَانِيَةَ - كَلاَّ لاَ تُطِعْهُ وَاسْجُدْ
وَاقْتَرِب ]
(6. いや,人間は本当に法外で,) (7. 自分で何も足りないところはないと考えている。) (8. 本当にあなたの主に(凡てのものは)帰されるのである。) (9. あなたは,阻止する者を見たか,) (10. 一人のしもべ(ムハンマド)が,礼拝を捧げる時に。) (11. あなたは,かれ(阻止する者)が,(正しい道)に導かれていると思うのか。) (12. 敬神を勧めているか,) (13. (真理を)嘘であるとして背を向けたと思うのか。) (14. かれは,アッラーが見ておられることを知らないのか。) (15. 断じてそうではない。もしかれが止ないならば,われは前髪でかれを捕えるであろう,) (16. 嘘付きで,罪深い前髪を。) (17. そしてかれの(救助のために)一味を召集させなさい。) (18. われは看守(の天使)を召集するであろう。) (19. 断じてそうあるべきではない。あなたはかれに従ってはならない。一途にサジダして(主に)近付け。)
富のために人が罪を犯すことに対する脅威
アッラーは、人間が自分は一人で生きていけてたくさんの富を持っていると思うとき、その人は満足して、最も凶悪で、罪を犯し易くなると述べられている。そして、アッラーは次のように仰せられて、そのような人を脅し、警告し、注意されている。
[إِنَّ إِلَى رَبِّكَ الرُّجْعَى ]
( 本当にあなたの主に帰されるのである。) 『アッラーの御許が最後に行き着くところ、帰り着くところ、そしてかれはあなたの富について、あなたがどこからそれを得たか、どのようにそれを費やしたかについて責任を問われる』 という意味である。
アブ ジャフルを叱責、彼を捉えるという脅威
それからアッラーは仰せられている、
[أَرَأَيْتَ الَّذِى يَنْهَى - عَبْداً إِذَا صَلَّى ]
( あなたは,阻止する者を見たか, - 一人のしもべ(ムハンマド)が,礼拝を捧げる時に。) これは、アブ ジャフル {彼にアッラーのお怒りあれ} について啓示されたものである。彼は預言者をアル・カアバで礼拝することについて脅かした。そこでアッラーは次のように仰せられて、どちらがよいかをまず彼を諭された。
[أَرَءَيْتَ إِن كَانَ عَلَى الْهُدَى ]
( あなたは,かれが,(正しい道)に導かれていると思うか。) 『あなたが妨げているこの人の行いや
[أَوْ أَمَرَ بِالتَّقْوَى ]
( タクワを命じているか,) 言葉が真っ直ぐな道の上にあると思うか。それでも、あなたは彼を非難して、祈っているからといって彼を脅している。』 という意味である。